紀州山椒について

全国の山椒生産量日本一を誇る和歌山県は、最高級品と名高い紀州山椒「ぶどう山椒」の産地として有名です。大部分が山岳地帯である和歌山県は、温暖で水はけの良い土壌を有するなど、山椒栽培に適した地形と気候を備えています。和歌山県の山椒栽培の歴史は、800年とも1000年以上ともいわれており、平安時代に編纂された行政要覧「延喜式(えんぎしき)」によると、山椒が税物として貢納されていました。

ぶどうの房のようにたわわに実るぶどう山椒は、ほかの山椒に比べて大粒の実がなり、果皮は肉厚です。香りが強いことで知られる山椒ですが、ぶどう山椒は際立って芳醇。リネモンとゲラ二ルアセテートが香り成分として含まれており、柑橘類のような爽やかな香りに加えて、バラの花のような甘やかな香りがします。果皮に含有される薬効成分はほかの品種より多く、強い辛味が特徴です。

古くから、日本人は自生している山椒を調味料として用いてきました。「古事記」の中には、山椒が香辛料として使用されていた記述が見られます。また、山椒は日本最古の香辛料であると同時に、薬としても用いられてきました。 江戸時代に活躍した医師の寺島良安によって編纂された百科事典「和漢三才図会」には、体を温め、顔色を良くするなど、山椒の効能が記されているといいます。

山椒の辛味成分であるサンショオールは、内臓に働きかけて消化不良を改善するほか、整腸効果や血行促進効果、新陳代謝を活発にする効果があります。実際に、胃もたれや消化不良の症状を改善する健胃薬や漢方薬として山椒が処方されており、ぶどう山椒も食用としてはもちろん、薬用としても納入されています。

創業者の志を受け継ぎ、山本勝之助商店では現在に至るまで国内産紀州山椒にこだわり、香り高く、辛味が強い選りすぐりのぶどう山椒のみを提供しています。